勘定科目
売上
商品、製品等の販売又は役務の提供によって実現した収益をいいます。
企業会計では、収益の計上基準として実現主義をとるのが原則であり、
- 商品又は製品の引き渡し又は役務の提供が行われること
- その対価として現金若しくは現金等価物を受け取ること
この要件を満たしている状態の時点で収益を計上します。
売上原価
一会計期間における売上高の総額に対する払出原価の総額として計算されるのですが、具体的には、例えば卸売業・小売業の場合は、期首商品棚卸高に当期商品仕入高を加え、これから期末商品棚卸高を控除する形で計算し、製造業の場合は、期首製品棚卸高に当期製品製造原価を加え、これから期末製品棚卸高を控除する形で計算することとなります。
役員報酬
定款、株主総会等の決議による取締役、監査役の報酬の支給限度額の範囲内において支給された報酬をいいます。この際に、取締役、監査役の支給限度額は各別に決議されるので留意する必要があります。
給料手当
販売費及び一般管理費に属する給料手当として処理する科目ですので、原則として販売及び一般管理業務に従事する従業員の基本給、諸手当(家族手当、役付手当、残業手当)及び賞与がこの科目に含まれます。
退職金
役員及び使用人の退職を起因として支給する一切の給与をいいます。
福利厚生費
役員及び従業員の福利厚生のための支出金が処理されますが、その範囲は広汎であり、しかも「給料手当」「交際費」等、他の勘定科目と類似している部分が多いので、処理方法によっては税務上の問題点が生じやすい科目です。
福利厚生費として処理される具体的内容の主なものは、次のとおりです。
- 健康保険、厚生年金保険、労働保険等、法律の規定によって支出が強制される社会保険料のうち事業主が負担すべき額(一般的には、「法定福利費」と言います)
- 創立記念日、新社屋落成式等に際し、従業員(役員を含む)におおむね一律に社内において供与される通常の飲食費の額
- 従業員(元従業員を含む)又はその親族等の結婚祝、出産祝、病気見舞、
香典、葬祭料等いわゆる慶弔、禍福に伴う金品の支給額
- 専ら従業員のレクリエーションのため社会通念上一般的に行われている
運動会、演芸会、旅行等に通常要する費用の額
- 役員又は従業員で組織した一定の社内福利厚生団体に対する補助金の額
- 従業員に支給した給食費、通勤費等の現物給与のうち非課税となる額
- 永年勤続者、功労者等を表彰するために要する一定の費用の額
なお、実務上は①の法定福利費の額は、「法定福利費」勘定で処理し、その他の福利厚生費の額を内容とする一般の「福利厚生費」勘定と区別している場合が多いですので、支出の内容をチェックして両者の勘定科目を明確に使い分けることが必要です。
旅費交通費
従業員が業務を遂行するため勤務地を離れて旅行する場合の費用、又は転任に伴う転居のために費用等をいいます。
さらにこの科目では従業員の通勤費のうち給与として課税されない部分の金額も処理されます。また、従業員が業務上、海外渡航をした場合の費用や海外駐在の費用で、それが比較的に高額で独立した科目として表示する必要のない場合も、この科目で処理します。
販売促進費
販売促進費とは、商品又は製品の販売及び役役の提供に係る売上高の増大、販売の促進に直接又は間接的に要した費用をいいます。
販売促進費として処理される具体的内容の主なものは次のとおりです。
- 販売価格、販売数量等を基準として金銭で支出する、又は一定の物品を交付す売上割戻しの費用の額。一般的には、「売上割戻し」といいます。
- 売上高に対して一定の比率で支払う販売手数料の額((1)に該当するものは除く)委託販売における委託者が受託者に支払う販売手数料等がこれに含まれます。
- 抽せん券付販売に要する費用の額
- 金品引換券付販売に要する費用の額
- 販売促進の目的で、特定の地域の得意先に対して、販売奨励金等として金銭又は事業用資産を交付する場合の、その費用の額
- 専門の仲介業者等以外の非事業者に対して、情報提供料等の名目で支払う一定の金銭等の額
- 特約店等のセールスマン(その報酬につき所得税法第204条の規定の適用を受ける者に限る)のために支出する一定の費用の額
広告宣伝費
将来の収益を獲得するための宣伝的効果を意図した不特定多数の者に対する支出をいいます。
広告宣伝費として処理される具体的内容の主なものは、次のとおりです。
- 製造業者又は卸売業者が抽選により一般消費者に対し交付する金品又は旅行、観劇等の招待費用の額
- 製造業者又は卸売業者が金品引換券付販売に伴い、一般消費者に金品を交付するために要する費用の額
- 製造業者又は卸売業者が一定商品等を購入する一般消費者を旅行、観劇等に招待することをあらかじめ広告宣伝し、その購入者を旅行、観劇等に招待する費用の額
- 小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用の額
- 一般工場見学者等に製品の試飲、試食をさせる費用の額
- 得意先等に対する見本品、試用品の供与に通常要する費用の額
- カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐい等の物品を贈与するために通常要する費用の額
- ①から⑦に揚げるもののほか、印刷物、電波、交通機関の中吊り、ネオン、看板、ダイレクトメール等の広告媒体物品に要した費用の額
寄附金
法人の取引に直接関係のない社会福祉団体、宗教団体、政治団体等に対して支出した金銭その他の資産の贈与または供与した場合、又は経済的な利益を供与した場合におけるその金銭の額若しくは金銭以外の資産の価格又は経済的利益の価格をいいます。
交際費
得意先、仕入先その他、法人に関係するのある者に対して接待、供応、贈答等を行う場合の費用が含まれ、販売促進のために費用の一つといえます。
通常は営業収益に対する販売費及び一般管理費として処理され、具体的には来客接待の飲食費、中元・歳暮における贈答、手土産代、取引先や関係先の慶弔、禍福に対して贈る見舞金・祝金・香典・餞別等、創立記念日に要する宴会費用、交通費、記念品代等をいいます。
租税公課
国又は地方公共団体に納付する租税のほか、罰金、科料、過料又は交通反則金をいいます。
保険料
火災保険、自動車保険等の損害保険料をいいます。、また、従業員を被保険者とする一定の生命保険料も含まれます。
修繕費
固定資産の修繕に要した維持費、補修費、取替費等のうち、現状を維持する範囲内のものをいいます7。
減価償却費
使用することによって価値の減少する減価償却資産をそれが使用収益される期間に適正に配分することにより、収益に対応する費用として計上する勘定科目をいいます。その対象となる資産としては、建物、構築物、機械装置等の有形の固定資産のほか、特許権、実用新案権、鉱業権等の無形固定資産、牛馬等の動物や果樹がこれに含まれます。
賃借料
土地、建物、機械装置、器具備品などを外部から借りて支払う使用料をいいます。
諸会費
法人が同業者又は地域の商工業者等によって組織される団体やクラブ等に加入すれば、当然、必要な経費を負担し、場合によっては入会金を支払うことになりますが、「諸会費」の勘定はこれらの負担金のうち、資産(前払費用や繰越資産となるものを含む)として取り扱われるもの以外の支出を処理する科目をいいます。
貸倒損失
債権の貸倒れに伴う損失をいいます。
試験研究費
試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用で次に掲げるものをいいます。
- その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもってその業務に専ら従事する者に係るものに限られる。)及び経費
- 他の者に委託して試験研究を行う法人のその試験研究を行う法人のその試験研究のためにその委託を受けた者に対して支払う費用
- 鉱工業技術研究組合法の規定により賦課される費用
受取配当金
この科目は、営業外収益の一項目で、次に揚げる収益をいいます。
- 株式会社、合名会社、合資会社、有限会社から受ける利益の配当又は建設利息の配当
- 中小企業協同組合、農業協同組合等の特別法人から受ける剰余金の分配又は事業分量配当
- 証券投資信託の収益の分配
支払利息
この科目は、借入金に対して支払う利息として処理し、損益計算書では営業外費用の部に記載されます。
棚卸資産
この科目には、売上原価、製造原価等の払出原価の算定の基礎となる棚卸資産勘定が処理されます。
有価証券
企業会計原則では、有価証券のうち証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとして処理されます。
繰越資産
この科目には、既に代価の支払いが完了し又は支払い義務が確定し、これに対応する役務提供を受けたにもかかわらず、その支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものいわゆる「将来の期間に影響する特定の費用」が処理されます。