建設業許可の制度
1、建築業法の目的(法1条)
①手抜き工事、粗雑工事などの不良工事を防止するとともに、更に積極的に適正な施工を実現して、発注者の保護を図ることです。
②建設業の健全な発達を促進することです。建設業は、住宅、道路、上下水道、学校、事務所、工場等の個人生活や社会生活の基盤となる諸施設の整備を担う重要な産業で、国民経済と深く関わっています。この建設業が調和のとれた産業として発達することは、公益的にも必要です。
上記2つの目的は、相互に密接な依存関係に立つもので、共に公共の福祉の増進に寄与することを理念としています。
二つの目的を達成する手段として、次の2つがあります。
①建設業を営む者の資質の向上です。具体的な方策として建設業の許可制があり、また、施工技術の確保と向上を図るために技術検定制度があります。
②建設工事の請負契約の適正化です。発注者と請負人、元請負人と下請負人の間に交わされる請負契約をより公正かつ平等にすることによって、請負人、特に下請負人の保護を図ろうとするものです。具体的には、請負契約の原則の明示、契約書の記載事項の法定、一括下請負の禁止の制度等があります。
2、建設業の許可と種類
(1)建設業とは(法第2条)
建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。
ここでいう請負とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約のことをいいます。雇用、委任、建売住宅の売買、委託契約や研究等のために調査、物品の販売などは請負には該当しないため、御注意ください。
(2)許可を必要とする者(法第3条)
建設業を営もうとする者は、下記に掲げる工事(軽微な工事)を除き、全て許可の対象
となり、建設業の種類(29業種)ごとに、国土交通省又は都道府県知事の許可を受ける必要があります。
■許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)
1、建設一式工事以外の建設工事
一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
2、建設一式工事で右のいずれかに該当するもの
(1)1件の請負代金が1500万円未満の工事(消費税込み)
(2)請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
3、許可の種類(法第3条)
(1)国土交通大臣許可:複数の都道府県に営業所がある場合
(2)知事大臣:一つの都道府県のみに営業所がある場合
※営業所とは、請負契約の締結に係る実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所を言います。単なる登記上の本店に過ぎないもの、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所、工事作業員の詰める工事事務所や作業所等は、営業所には該当しません。
①他の道府県における営業活動・工事現場について
東京都知事から許可を受けた建設業者は、東京都内の本支店でのみ営業活動を
行なうことができます。この本支店で締結した契約に基づいた工事は、営業所のない
他の道府県でも行うことができます。
②許可を有していない軽微な工事の契約について
軽微な工事(500万未満等)について、その業種に関する東京都知事許可を有しない場合は、他の道府県の本支店で契約可能です。しかし、その業種に関する許可を
有している場合は、他の道府県の本支店で契約をする場合は、国土交通大臣許可が
必要となります。
③許可後に営業所の移転・増設等がある場合
例えば、東京都知事許可の事業者が他の道府県に営業所を移転・新設する場合は、
大臣許可や他の道府県許可へ、また大臣許可や他の道府県許可の事業者が東京都のみに営業所を置く状態となる場合は、東京都知事許可へと許可換え新規申請が必要となります。
■営業所の要件
法第3条
建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ)を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可をうけなければならない。
(施行令第1条)
建設業法(以下「法」という)第3条第1項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。
営業所
営業所(常時建設工事の請負契約を締結する事務所)とは、請負契約の締結に関する実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所であって、少なくても下記①から⑥
に示す要件を備えているものをいいます。
単なる登記上の本店に過ぎないものや建設業と無関係な支店、請求や入金等の事務作業のみを行う事務所・事務連絡所、工事作業所の詰める工事事務所や作業所等は、営業所に該当しませんが、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば、営業所に該当します。
①外部から来客を迎い入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
②電話(原則固定電話)・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分
されている、個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区分されているなど、独立性が保たれていること
なお、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるよう看板等掲示し、営業形態も別とすること
③常勤役員等又は建設業法施工令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)が常勤していること
④専任技術者が常勤していること
⑤営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として認められません)
⑥看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること
(東京都建設業許可申請の手引きから引用)